経理業務で使える便利なExcel VBA EUCツール例5選

更新日:2019年10月18日
公開日:2019年10月16日

経理業務に役立つVBAツール

皆さんが普段仕事で使用しているExcelやAccessといったMicrosoft Office製品と最もマッチしたプログラミング言語がVBA(Visual Basic for Applications)です。

主に経理や人事総務といった事務作業用のExcelツール開発でVBAが使用されることが多く、開発者ではないユーザーもマクロ記録機能を使って、作業自動化していることも少なくありません。

私は経理や経営企画を始めとする様々な事務作業に携わりましたし、VBAツールの開発エンジニアとしての実務経験もあります。

そこでこのページでは、経理業務で使える便利なExcel VBAのEUC(エンドユーザーコンピューティング)ツールの例を5つほど考えましたのでご紹介します。

経理業務で使えるVBA EUCツールの特徴

最も代表的な使い方は、Excelで作成した仕訳データを、会計ソフトに取り込むために、必要な情報だけを抽出してcsvファイルに変換するツールです。

弥生会計や勘定奉行など、会計ソフトやバージョンによって、取り込む情報や書式は異なりますので、手作業で行うと時間がかかるため、作業時間短縮と入力の正確性を高めるVBAツールが便利です。

次に、部署や商品などによって、異なるフォーマットのExcelファイルを使用している場合や担当者単位でExcelの報告ファイルを作成しているために大量のファイルを一つのExcelシート内にデータ集計する場合にも、同様にVBAツールは役立ちます。

もう一つ便利な機能としては、手作業のチェックです。経理では請求書を始めとして、紙ベースの書類はなくなることはないため、書類をExcelファイルに手入力する場合が多いですが、そのような場合にダブルチェックとしてVBAツールを使用すると管理者の負担は減ります。

(その1)売上報告書ファイルから必要な情報を仕訳データとして集計し、会計ソフトへインポートするcsvファイルを作成するツール

最もポピュラーな使い方の一つですが、実装できる便利な機能は多いです。

部署の違いによって異なる報告書フォーマットに対応するように、VBAプログラミングでは、共通で使用できる機能と個別の機能でプロシージャを分け、コードの見た目も分かりやすくしておきます。

仕訳データも定型的な仕訳部分と例外的な部分がありますので同様にコーディングします。

備考欄は、コメントが定型的な部分と、年月や書類件数、取引先や金額など、定型化できない部分があります。定型化できない部分はVBAで報告書ファイル内から情報を自動取得して、定型部分と文言を連結させることで、自動的に備考欄の情報を作成します。

仕訳データとして集計する前に、報告書ファイルに入力する情報が仕様で定められた書式になっているかどうかのエディットチェックや集計後に合計金額や件数などのトータルチェックを行って、VBAツールが正しく機能しているかどうかを検証できる機能を実装していると、より効果的なツールになります。

最後に会計ソフトのバージョンで定められた仕様に合わせて書式変換などを行い、csvファイルにします。

(その2)商品別に帳簿残高と棚卸残高とのマッチングを行い、棚卸減耗の明細データを自動作成するツール

棚卸管理システムと、棚卸時の商品リストとで、経理と製造ラインとで目的が違う、M&Aなどの理由で商品コードが異なる、分類が全く違うといったケースは通常の会社では普通にみられます。

両者の対応表さえ作成してあれば、棚卸結果ファイル(手入力)と棚卸管理システムとのマッチングはVBAツールで自動化できます。

集計の結果、「帳簿数量 < 棚卸数量」となっているような異常値を検出した場合には、エラーリストを出力できる機能も同時に実装します。

(その3)取引の二重計上を検出するようなツール

月や取引先、金額が同じである取引データを検出するツール

ほかにも取引の種類毎に例外的な特徴がみられ、二重計上の検出に資する場合には、VBAで実装できるでしょう。

プログラミング上の問題というよりも、むしろ組織内で情報共有ができているかどうかがカギになりそうです。

(その4)固定資産の取得、廃棄に関する仕訳データについて、事前に稟議決裁されているかどうかチェックするツール

稟議をWEBシステムやExcelファイルで運用している場合には可能です。

VBAはIE(Internet Explorer)との連携に強いプログラミング言語のため、WEB上の稟議フォームから情報を自動取得できます。

固定資産の取得や廃棄について、職務権限規程に応じた稟議決裁が行われているかどうかをVBAでチェックします。

(その5)決算書の修正が正しく行われているかどうかをチェックするツール

決算書には修正が付き物。更新管理は管理者の重要なタスクの一つです。

前バージョンと現バージョンとで、差額を把握し、「差額 = 修正箇所」になっているかどうかチェックするようVBAで実装します。

決算書とは、金額だけでなく、勘定科目や会計方針、注記事項など、「文言」も間違いがあってはいけません。

上述の差額とは、追加、修正、削除した文言のチェックも含めます。

まとめ

以上、経理業務に役立つ便利なExcel VBAのEUCツールについて、5つほど例を紹介しました。

アイディア次第でVBAの可能性は広がります。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

Amazon Kindle Unlimited

10冊まで同時に読み放題の電子書籍サービス(200万冊以上が対象)。

PC・ITカテゴリーの対象数は7,000以上。

スキル、ノウハウ吸収や話題作りにと、ライフ・クオリティを高めてくれます。

関連記事

Topへ戻る