VBAエキスパートにおすすめの本と合格するための勉強方法
更新日:2022年2月13日
VBAエキスパートのExcelとACCESS(スタンダート)を受けた結果、両方とも1回で合格し、「スタンダードクラウン」の称号を得ることができました。
ここ数年、「RPA(ロボットによる業務自動化)」がITトレンドワードになっています。
しかし国内でRPA製品を本格的に活用している企業は多くはありません。
一方で「リモートワーク」「働き方改革」が労働のトレンドキーワードになっているように、少子高齢化に伴い業務効率化のニーズは増えています。
そこで、国内導入実績が少ないRPA製品に代わり、ニーズ増加が期待できるのが、導入実績が豊富な「VBA」です。今後は業務効率化に積極的だった大企業だけでなく、中小企業を含めた幅広い規模・業界の企業で、経理・人事などのバックオフィス業務の効率化に欠かせないスキルになることでしょう。
そこで今回は、VBA初心者の文系社会人サイト管理者が、Excelスタンダードに独学で合格するまでに至った勉強方法やおすすめの本について紹介します。
※ExcelベーシックやAccessにも共通する学習ノウハウですので、Excelスタンダードと同様、役立つはずです。
VBAエキスパートにおすすめの本と合格するための勉強方法
目次
- 1.VBAエキスパートを目指すようになったきっかけ
- 2.Excelスタンダード独学開始前のサイト管理者のスキル・学習環境
- 3.事前準備
- 4.計画
- 計画1:勉強時間と学習期間、目標点数
- 計画2:勉強の方法
- 5.学習
- おすすめの本1:VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAベーシック
- おすすめの本2:VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAスタンダード
- おすすめの本3:Access試験も公式テキストがおすすめ
- 公式テキストのメリットとデメリット
- プログラムのコーディング
- 直前対策(試験2週間前から)
- 【模擬試験】おすすめの本4:【新試験対応】VBAエキスパート試験 対策問題集シリーズ
- 弱点対策ノートの補強
- 6.モチベーションと体調管理
- モチベーション
- 体調管理
- 7.申し込みと試験
- 申し込み
- 試験
- 8.合格後の私(まとめ)
1.VBAエキスパートを目指すようになったきっかけ
サイト管理者は文系(経済学系)出身。主な仕事は事務職でした。
Excelは基本操作と簡単ないくつかの関数(IFやVlookupまで)を使用していましたが、プログラミングはおろか、マクロ機能さえ使ったことがありませんでした。
Excel VBAを使用するきっかけは30代の後半。
関数を多用する事務職の仕事だったのですが、ある人がVBAツールを作って仕事しているのを見て、「便利だなー」と思い、本を読みながら同様に作り始めました。
これがVBAを使用した初めての出来事です。
VBAエキスパート資格の存在は、この時にインターネットで知り、興味を持ちました。
プログラミング全般に興味があり、将来的にはプログラミングの仕事もしたいと考えていましたので。
そこで早速テキストを購入し、仕事と同時並行で少しだけ勉強しましたが、この時点ではテキストを読んでも文法が全く分からない状態。
「メソッドとプロパティの区別がつかない」「データ型が理解できていない」「変数の初期化で"Set"を付ける場合とそうでない場合の違いが分からない」「どういった場合に":="を使うのかが分からない」といった状態だったため、エラーが発生しても、何が間違っているのか、どこを直せばよいのか分からず、簡単なプログラムであっても作るのに時間がかかっていました。
その後、仕事でのVBAの通算使用期間が半年位になり、簡単なプログラムは時間をかけずに作れるようになった時点で「VBAエキスパートのExcelスタンダードを取得しよう」と思うに至りました。
2.Excelスタンダード独学開始前のサイト管理者のスキル・学習環境
サイト管理者の勉強開始前のExcelスキルは上述の通りです。
その他のITスキルについてですが、独学でHTMLとCSSを勉強してWEBを立ち上げて公開。また、基本情報技術者試験(IPA国家資格)に合格しています。
PC使用歴は2002年から仕事で使用しているので、15年のベテラン。ほとんど毎日、仕事(事務職)と自宅(趣味程度のWEBその他)で使用しています。
このようにPCは使い慣れており、WEBも使用しているため、ITはある程度分かっている人間です。
一方で、WEBで使用するHTML、CSSはプログラミング言語としては特殊な部類であるため、一般的な機能を具備するプログラミング言語は、今回のVBAが初めてです。
従って、プログラミング初心者といえます。
次に学習環境についてですが、日中は自宅から1時間程の場所にある会社で働いていたため、日中は自宅と会社の往復時間+帰宅後、それと土日祝日が勉強に充てることができる時間でした。
3.事前準備
VBAエキスパート公式サイト(オデッセイ コミュニケーションズ)で試験概要や受験料、日程、問題などについて調べました。また、ネット検索で他の方の合格体験や学習方法を調べました。
4.計画
綿密な計画は立てていません。
なぜならば、これまでにもIT資格を含めていくつかの資格を受験し合格してきた経験があるため、頭の中でスケジュールは予想でき、また学習方法も確立されているからです。
独学で使用する書籍はVBAを使用しはじめた時に購入していた本を使用(ネット情報を参考にして購入)。
この段階で計画したこと(頭の中でイメージしたこと)は次の3つです。
計画1:勉強時間と学習期間、目標点数
(1)勉強時間:テキスト2冊を各2週 + 直前対策(模擬問題演習)=40~60時間
※模擬問題演習にはテキストに付属の問題だけでなく、模擬問題ソフト(後述)を使用
(2)学習期間:2~3か月
(3)目標点数:9割(900点)以上
※この計画に対して、実際に要した勉強時間は50時間、学習期間は2か月、点数は911点でした。
計画2:勉強の方法
(1)日中は、自宅と会社の往復の移動時間中に勉強。
(2)テキストに良い電子書籍がなかったため、その日に勉強するページを事前にスマートフォンでカメラに収めておき、画像化しておく(どこでもスマホで学習できる)。
(3)休日は自宅で学習し、実際にPC上でコーディングする時間にも充てる。
(4)試験直前までに対策ノートを作成。試験直前から試験日までの間に利用するための、主に暗記対策や弱点対策として利用するノート作り。
※1月上旬に試験を受ける予定。正月休みを利用して集中的に学習
(5)モチベーション高い状態で試験に臨むために体調を整え、気力を充実させること。風邪をひかないなど健康面のケア
5.学習
勉強期間の時系列で、おすすめ本や学習でつまずいた点など、いくつかの項目に分けてコメントします。
おすすめの本1:VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAベーシック
(使用期間)最初から最後まで
(購入した理由)スタンダード試験にはベーシックの出題範囲からも出題されるため。
(ページ数と大きさ)199ページ、B5サイズ
(内容)テキスト11章+サンプルデータ+模擬問題
VBAは仕事で使用していたこともあり、ベーシックの内容は大体知っていました。
しかし、全て理解できているわけではありません。例えば、最初のマクロとVBAの違いがあやふやでしたし、関数、プロパティ、メソッドの中にも仕事では使用していないものも相当あります。
公式テキストのメリットは、出題範囲をすべて網羅している点だといえます。仕事ですと、どうしても作業時間を優先して慣れているプログラムで記述しますので、使用頻度に偏りができてしまいます。
勉強方法ですが、日中はスマホ(書籍をスマホカメラで収めた画像)で、自宅では書籍自体を使って、テキストを読み進めます。
仕事で使用したことのないプロパティ、メソッド、関数、ステートメントは、休日にサンプルデータを使って実際にコーディングして頭に定着させました。
最終的には全ての章を2回読み終えました。
おすすめの本2:VBAエキスパート公式テキスト Excel VBAスタンダード
(使用期間)最初から最後まで
(購入した理由)Excelスタンダードの公式テキストであるため。
(ページ数と大きさ)204ページ、B5サイズ
(内容)テキスト10章+サンプルデータ+模擬問題
Excelスタンダードの出題範囲になると、仕事で使用していない部分がほとんどでした。
そこで、ベーシックよりもテキストは理解しながら読むようこころがけました。また、休日にすべてのサンプルについて実際にPCでコード入力してみました。
それでも理解できない箇所は、後述するインターネットのVBA入門サイトを参考にして理解するようにしました。
こちらもベーシック公式テキストと同様、最終的には全ての章を2周しました。
おすすめの本3:Access試験も公式テキストがおすすめ
Accessスタンダードでも公式テキストを使って合格しました。Excelと同様、おすすめできる書籍です(理由は次のメリットとデメリットを参照)。
公式テキストのメリットとデメリット
上述のVBAエキスパートの公式テキスト(ベーシックとスタンダード)は、次の点において他の追随を許しません。
- ・試験の出題範囲を網羅していること
- ・分かりやすくかつ簡潔にまとめられた文法
- ・試験問題と同レベルの内容
- ・サンプルデータと問題の質
- ・持ち運びにも苦労しないページ数と大きさ
VBAエキスパート専用のテキスト本は、公式テキスト以外にも多くはありませんが、存在はします。
しかし、2022年2月13日現在、どの書籍も版は重ねられていません。その結果、Excel2002試験バージョン対応のままであり、現行試験バージョンとは異なった出題範囲でテキスト化されています(Amazonにて「VBAエキスパート」で検索した結果より)。
※VBAエキスパートは2019年に試験がリニューアルされています。
文法の説明についても公式テキスト以外にも沢山存在しますが、最新の試験範囲に完全準拠したものは公式テキスト以外には、書籍だけでなくサイトでも存在しません。
Excel VBAテキストも多数存在しますが、エキスパート資格専用の本が少ないのは、公式テキストが非常に優れているからといえると思います。それくらい完成度が高いテキストです。
一方で公式テキストのデメリットですが、電子書籍化されていないことが挙げられます。
細切れの時間を有効に使いたい社会人としては、スマートフォン上で何時でもどこでも勉強できる電子書籍がないのは少し残念です。
この点については、上述の通り、ページをスマホカメラで画像化することで対応しました。
もう一つのデメリットは付録の模擬問題の量が少ないことです。そこで、問題演習対策には後述の別の問題集(模擬問題ソフト)を追加して使用しました。
プログラムのコーディング
休日を利用して、公式テキストのサンプルデータをダウンロードして、実際にPCで打ち込んでみました。
サンプルデータのダウンロード方法や使用方法は公式テキストに説明が記載されています。説明を読みながらPC操作すれば問題なくサンプルデータを使用できました。
VBAコーディングは実際にやってみると記憶が定着しやすく、合格率アップにつながります。
また、資格勉強に役立つ点としては、変数宣言や、各プロパティ、メソッド、関数などは実際にコーディングしてみると、どんなコードでエラーになるのか、より理解が促進されます。エラー対応は本を読むだけでは覚えにくい分野です。コーデイングと同時にデバックの学習にもなり、さらに合格率アップにつながります(コーディング学習の結果、実際のテストでは「エラーへの対処」のセクション正答率は100%を取ることができました)。
直前対策(試験2週間前から)
この時期に行ったことは次の2点です。
- ・公式テキストの巻末インデックスを使用した用語暗記と弱点対策ノート作り
- ・模擬問題演習
直前は丁度正月休み。集中的に試験勉強できるように計画立てておいたことは幸いでした。
まず、公式テキストの巻末に掲載されているインデックスを利用して用語を暗記していきました。
具体的にはインデックスのうち、アルファベット(AからZ)の部分に記載されているVBAのプロパティ、メソッド、関数、ステートメントについて覚えていきます。
なぜ巻末インデックスを使用するかというと、テキスト本体は2周しましたが、その章立てやページに記載されている前後の用語や文章と関連して、脳が記憶しているからです。
すなわち、試験ではテキストの順番通りに出題されるわけではないため、テキスト通りの覚えかたでは記憶定着は不十分であり、別の「横断的な記憶定着」が必要ということです。
インデックスをコピーして、各用語を見ていきます。そして覚えていない用語については、そのページに記載しているポイントをコピーしたインデックスの該当箇所の余白にメモします。
関連する用語があれば、その用語についても簡単にメモをしておく。
このような学習によって、試験直前に簡単におさらいできる弱点対策ノートになります(ベーシックとスタンダートを合わせてもたった7ページです)。
次に公式テキスト付録の模擬問題プログラムを解きました。
その結果、VBA合格圏内と思われる7割を超えることができました。
しかし逆に合格圏内にあるからこそ、「必ず合格しないといけない。取りこぼしはないようにしたい」という思いも強くなり、同時に不安もありましたので、模擬問題ソフトを購入することにしました。
【模擬試験】おすすめの本4:【新試験対応】VBAエキスパート試験 対策問題集シリーズ
私が受験した時には、ベクターから発売の模擬問題ソフトを購入して利用しました。
※この模擬問題は以前はベクターで購入できたのですが、2022年2月13日現在、ページが存在せず購入できない状態になっています。
この模擬問題に代替する問題集として、Amazon Kindle(Kindle Unlimited対象)の「【新試験対応】VBAエキスパート試験 対策問題集シリーズ」をお勧めします。VBAエキスパートの問題に類似しており、対策本として良書だと思いました。
※各シリーズとも5章まで読めます。6章以降は著者サイト(https://www.exam-vba.com/)から購入の必要あり(一部の問題は無料使用可能)。KindleやWebサイト無料サービスでお試ししてみることをおすすめします(問題クオリティは高いです)。
弱点対策ノートの補強
最終的には、模擬問題は2回解き、全て8割を超えました。
2回目でも解けなかった箇所や間違えやすい点(ケアレスミスを含む)については、上述のインデックスコピーに追加して、弱点補強ノートとして3ページ追加して、メモしておきました(結果、弱点補強ノートは10ページになりました)。
6.モチベーションと体調管理
モチベーション
試験日に高いモチベーションを維持するため、直前から試験日までに段々と高めていくように持っていきました。
行ったことは次の通りです。
(1)直前までは頑張りすぎない。コツコツと少しずつでもいいので継続学習を心がける。
(2)スマホのカレンダーに学習したことをメモしておく。問題演習も正答率を記載しておく。達成度が分かるのでモチベーション維持に役立つ。
(3)自宅では「ながら学習」。音楽を聴いたり寝転がってお菓子やお茶しながらリラックスした状態で学習する。
(4)(1)で継続と記載したが、毎日必ず学習する、といった決め事はしない。週単位で進捗状況を把握して、大幅な遅れがなければ全く学習しない日も問題なしと考える。
(5)勉強に飽きてきた場合には、別の本やゲームアプリ、アニメ、映画などで気分転換する。
体調管理
冬に試験を受けたため、風邪には気を付けました。具体的にはうがいや手洗いをし、厚着をするといった基本的なことだけでなく、ビタミンCを中心としたサプリメントを購入して飲んでいました。
7.申し込みと試験
申し込み
上述の公式サイトから試験会場を探して申し込みました。
試験場は有楽町のテスティングセンター。時間は直前まで頭に入れたかったので午後にしました。
試験
試験場の近くに2時間前に到着。弱点補強ノートを中心に、近くの喫茶店など(数か所)でおさらいしました。
時間通りに試験場所に到着。荷物をロッカーにしまい、受付の誘導のままに着席。ログイン後、指示に従って試験開始。
問題レベルは模擬問題と同程度でしたので自信を持って回答することができました。40問中自信がなかったのは数問だけです。
20分以上を残して全問回答が完了。15分ですべて見直しし、数問を訂正した後に10分程を残して終了ボタンを押しました。
結果は911点。予想以上に高得点で合格できたこともうれしかったですが、合格できたこと自体に正直ホッとしました。
8.合格後の私(まとめ)
まずはVBAエキスパートの資格を取得したことで、プログラミングの仕事の道が開けました。
合格後は、資格取得が認められた結果、Excel VBAツールの開発案件に携わることができました。その後もExcel、Access VBAツール案件を中心としたITの仕事に携わっています。
また、VBAを習得したことで、プログラミングの基礎が理解できた結果、他のプログラミング言語をより短期間で習得できるようになり、その結果、Accessスタンダート(スタンダードクラウン達成)やJava Silverの資格を取得できました。さらにはWEBもPHPやSQLを使った動的サイトを作れるようになり、30代後半からのプログラミング学習でしたが、少しずつできることが増えてきています。
今回、ご紹介した勉強方法や本、ソフトウェアが、皆さんの資格取得にお役に立てば幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。